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おはなし 16
男の軍の残党たちを追いやったあと、
老賢者たちは高らかに勝利を宣言しました。
一部焼き討ちなどの破壊行為で、
街は見る影もなく荒れ果ててしまいましたが
幸いと玄の民が大きく損なわれることはありませんでした。
厄災が去ったと知っても、ツキシロの心は晴れませんでした。
それまで、自分の力は、人々の苦痛を取り除き助けるものと
信じて疑わなかったのに
恐ろしい破壊と殺戮の力をも秘めているものと
気が付いてしまったからです。
それは、ハイシロとて同じことでした。
あの時、男に止められなかったら、
男が老いて朽ち果てるまで時を進めていたことでしょう。
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