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 結果としてツキシロだけが力の裏面を行使することになったことを、ハイシロは深く悔いていた。ツキシロが手を下したことをツキシロ自身が納得するためには、独りの時間が必要なのだとハイシロは理解した。ツキシロが国を出ることは、老賢者たちに報告し、両親にもことわった。シロガネは餞別にと一振りの懐剣を、クロベニは近衛兵の黒装束一式をツキシロに贈った。ツキシロの力が国を救ったことは、誰もが承知していた。しかし、それを讃え肯定することはツキシロを困惑させ苦しめることも同時に理解していたから、誰も何も言わずに、ツキシロの選択を是として見守った。
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