プロローグ

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「…メガネ、いいの?」 彼女が聞いたので僕は答えた。 「いいよ、伊達メガネだったし」 何も言わずにただ歩く。 沈黙を切り出したのはまたしても彼女の方だった。 「…ねぇ」 「何?」 呼ばれたので振り返る。 彼女は少し悲しそうな顔をしてから数秒置いてこういった。 「…私達、家出しない?」 一瞬思考が停止した。 「……は?」 何を考えてるんだ、こいつは。 真っ先に頭に思い浮かんだ言葉はそれだった。 「家出して、自由になるの 嫌なら…いいけど」 俯きながら彼女はつぶやく。
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