後悔の光源

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 ミサキは、話の流れを早速本題に移した母の言葉に背筋を伸ばした。  そう。 わたしはただお母さんと雑談をするために場を設けたんじゃない。 限られた時間の中で、絶対に話したいことが一つだけあった。 「あのね、お母さん」急速に膨れ上がった緊張を無理やり飲み込んで、「わたし、大学に合格したんだよ」  なんだ、そんなことか。 と思う人は少なからずいるだろう。  しかし彼女にとって大学合格を伝えることが、このとき人生で一番大切だといっても過言ではなかった。  母は長い睫毛の瞼を閉じて娘の報告を聞き終えると、しばし沈黙を貫いた。 まるで娘の報告を何度も何度も噛み締めて、脳に染み渡らせるために用いられているようだった。  そして、 『よく、頑張りました』  たった一言。 ともすれば聞き逃してしまいそうな、十文字にも満たない文字の並び。 だけど母が込めた想いは、一言で表せられない程の熱量があった。
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