17人が本棚に入れています
本棚に追加
「や・・・あ、動かさ、いで・・・んんっ」
男は深く突っ込んだまま、搔きまわすように腰を揺らしていた。奥深くまで密着した粘膜が擦られ、そこから絶えず漏れ出てくるくぐもった水音に、倉木の理性はそろそろ限界だった。
男は一度全てを引き抜いた。青年は一際甲高く鳴き、そのまま一気に根元まで突き刺されると、大きく仰け反ってビクビクと痙攣していた。
「・・・っ!ちょっ、俺今日ゴムしてないから。あんま締めると、っのまま、出ちゃうって」
男は、繋がったその部分に親指を差し込みナカを拡げると、そのまま何度も腰を打ち付け青年を犯していく。次第に動きは激しくなり、男は息を荒らげながら、夢中で腰を振っていた。
目の前の光景は本当に現実なのだろうか。
気づくと倉木はスマホで一部始終を録画していた。空いている方の手で自身の昂りを強く握ると、男の動きに合わせて上下に扱いていく。信じられないほどの快感に、すっかり周りが見えなくなっていた。
「あの」
遠慮がちに肩を叩かれる。倉木は固まった。動きを止めて振り向くと、気の弱そうなメガネの男が立っている。
「ええと。あ、まり、そういうことは、しない方が・・・」
ワンテンポ遅れて、何を言われたのかを理解した。今の自分の状況も。
注意をされた。自分は見られていた。撮っているところを、ずっと・・・
思考が急速に巡り出す。一気に顔に血液が集中した。
「どけっ!!!」
慌てて男を押しのけると、倉木は無我夢中でその場から逃げ出した。
後ろを振り返りながら、男が追ってこないことを確かめてホッと胸をなでおろす。
他に人がいるとは思わなかった・・・
まだ落ち着かない心臓に手を当てながら、何度も深呼吸を繰り返した。スマホを固く握り締めていた手から、ようやく力が抜けていく。
パニック状態だった頭が冷静になってくると、倉木は徐々に口端が笑みで吊り上がっていった。
何ということだ・・・最後までとはいかないまでも、あの青年の淫らな姿を、ここに納めることができた。
これほどまでに自分自身を褒めたくなったことはなかった。これさえあれば、妻に隠れてこそこそと、何時間もかけて動画を漁らなくて済むかもしれない。
願わくば、もう少し本物を見物していたかった。けれど今頃、あの変に正義感の強そうな真面目ぶった男が、本人たちを諌めていることだろう。
なにせ、堂々と変態的行為に勤しむ倉木を窘めるくらいだ。
・・・全く、ノンケというのは理解ができない。
あんなものを目の当たりにして、何の興奮も感じないのか。倉木はもうすでに、全身が昂ってどうしようもないというのに。
最初のコメントを投稿しよう!