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もどかしい気持ちを我慢して急いで帰宅すると、倉木は、妻が寝静まるのを見計らってリビングへ向かい、動画を繰り返し再生しながらこの青年で何度も抜いた。
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「・・・ねえ。ねえってば」
ハッと気がつくと、倉木のすぐ目の前にはあの美しい顔が。怒ったように眉間にシワを寄せて、こちらをじっと見ていた。
倉木の太ももの上には、青年のすらりとのびた両脚が載せられている。
「僕みたいなガキの相手は退屈だったかな」
「まさか。ありえないよ」
「じゃあ何でずっと上の空なわけ」
拗ねたように目を逸らす仕草がたまらなく美しい。誘うような流し目で倉木を刺激する。瞳が濡れていて、見ているだけで欲を掻き立てられた。
わかってる、本当に怒っているわけじゃない。ただのポーズだ。二人の駆け引きに持ち込むための。
背筋がゾクゾクした。
・・・こんな偶然があるものなのか。まさかこの子が。この店に来ていて、俺の相手役になるなんて。
倉木はゴクリと唾を飲み込む。夢の中にいるような気分だった。
恋人役なんだぞ・・・?
今の俺たちは、恋人がする行為であれば何をしたって許されるんだ。自分の好きなようにこの子に触れる。キスしたって何だって、ましてやその先も・・・
もちろん、本当に相手が嫌で切り上げたい場合は、グラスに注がれた黒いカクテルを全て飲み干せばいい。
空になったグラスをカウンターに戻すこと。これが幕引きの合図だ。
グラスに液体が残っている間だけ、キャストはこの偽りのロマンスの中で非日常の夢に酔うことができる。
・・・飲ませなければいい。俺がこの子と繋がる瞬間まで。
「君に見惚れていたんだ。二人っきりで会えるなんて久しぶりだろう?本当に待ち遠しかったよ」
倉木は青年の耳に手をかけた。顎を持ち上げ、唇が触れるか触れないかの位置で見つめ合う。
青年がクスリと微笑んだ。倉木の首に両手が回される。が、どちらもそのまま動かない。互いの吐息を肌で感じながら、感情だけが煽られていく。
倉木は太ももに手を置いた。撫でるように動かしながら、さりげなく内側へスライドさせていく。肝心な場所には触れずに、太ももの一番柔らかなところを弄った。
「・・・ねえ、そろそろ下の名前で呼んでよ。あんたが”ミツキ”って呼んでくれたら、僕もあんたを下の名前で呼んでやるからさ」
倉木は思わず感心した。どうやって名前を聞き出そうかと考えていたところだったからだ。
・・・展開の持っていき方が上手いな。もしかして、この店に来るのは初めてではないのか?
少しの嫉妬を覚えながらも、倉木は笑顔で返した。
「もちろんだよ、ミツキ。じゃあ俺のことも翔と呼んでくれ」
「翔。僕も会いたかった」
そう言ってミツキは、倉木に触れるだけのキスをした。理性がどこかへ飛んでいく。
ミツキの両脚をまとめて抱え上げる。そのまま体をソファへ押し倒すと、布越しでもわかる形の良い尻が、倉木の視線を釘づけにした。
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