【堕胎福音】

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 スマホを俺に返し「考えすぎでは?」と付け足した。 「まだ続きがあんだって。俺にも入れってうるさいんだ。勧誘とか普通じゃないだろ?  しかも、よく分からん石みたいの買ってさ。何万もする」  一度見せられた鈍色の石。由利は周波数を整えるための何たらと言っていたが、鉄くず様のアレが何万の価値を持つわけがないことは、誰が見ても明白。  正人は俺の不安をよそに落ち着いた様子で、等分したタルトを口へ運ぶ。 「ほぉ、なるほどね。要は彼氏として催眠商法から助けたいと?」 「そうそれ!」  思わず声が大きくなってしまい咳払い。 「あぁ……だからさ。正人に意見聞きたくって。一緒に説得して欲しいのもあるし」 「ふむ。でも信仰は自由。それに好きなものを自分のお金で買っているだけだからね。龍也が趣味のバイクにお金かけるのと、あんま変わらないのでは?」  いつもこうして合理的な回答をしてくる。ちょっとイラっとするんだよな。コーラを煽ると沈みかけの氷が清涼感を響かせた。 「いやでもよ、教団のサイト会員制でさ。有名政治家とか芸能人も入ってるらしいんだよ、名前非公表だけど」 「……で?」
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