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「ま、まぁ、それはともかく甲板に出てみようよ。
ここからの景色も、すっごくいいんだから」
深沢くんはそう言って、船の甲板に出る。
広がる横浜の景色に、思わず「わぁっ」と声を漏らした。
「すごい! なんか、横浜のおいしいとこを一望って感じ!」
「ランドマークタワー、コスモクロック21、赤レンガ倉庫と大さん橋……ぜんぶ一気に見られるのって、割と贅沢だよね。
……うん、天気がいいからすごくきれいに映る」
ご自慢のスマホで風景を切り取る彼の声は、すごく満足そうだった。
わたしもスマホをのぞき込んで、しばらくその景色にうっとりしてしまう。
「……やっぱり、横浜で正解だった。
でもココの景色は、これからが本番だからね!」
……これから? そう不思議に思っていると、彼は「もうちょっとかな」なんて言って、自分の腕時計を見ていた。
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