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一
この一年……、つまり、高1の終わりから高2のいまに至るまで、わたしの青春は最悪以外のなにものでもなかった。
あれもこれも全部、なんかよくわかんないウイルスが世界中で流行ってしまったせいだ。
まず3月、ひっそりと思いを寄せていた先輩の卒業式が中止になった。本当は卒業式で告白しようと思っていたのに。わたしの恋は駆け出すこともなく、ものの見事に砕け散ったのだった。
次に夏の始め、学校帰りに友だちとみんなで通っていた喫茶店が閉店した。
おばちゃんと会話したり、わたしたちの写真を壁に貼ってもらったりして、わたしたちの放課後の憩いの場所だったのに。
休校が明けてやっと登校できるようになったと思っていたら、わたしたちを待ち受けていたのは、「閉店のおしらせ」の貼り紙。そんなのってない!
あと、修学旅行も中止になった。北海道3泊4日。
……行ったことなかったのにな、北海道。カニもスープカレーもジンギスカンもラーメンも、すごく、すごく楽しみにしていたのに。
ちょうど北海道がとんでもなく流行した時期にぶち当たってしまったわが校の不運を、心から呪いたいと思った。
あっ、ほんのちょっとだけいいこともあって、なぜかクラスメイトのマジメ系な男子に告白された。
初めての告白でつい舞い上がってふたつ返事でオーケーしてしまったけれど、よく考えたらわたし、彼のこと、あんまりよく知らなかった。
……よくもわからない男の子に、わたしの青春を預けちゃってもいいんだろうか。
そんな風に悶々としながらも、彼からはたまにメッセージが来るので、なんとなくやり取りを続けている。
ちなみに恥ずかしいから、クラスで話すことはまったくない。そういう時代だしちょうどいいでしょ、告白だってオンラインだったしさ。……それもどうなの、って話だけど。
まぁ、それは置いといて。最悪なことは他にもあって、あれもそうだしこれもそう。あとあのこととそのこと、あと、極めつけにこれと……。
……もはや挙げるのすら嫌になって、わたしは眉間にシワをよせながらベッドの上に寝転んだ。
その時、枕元に置いといたスマホが震えだした。惰性でそれを手に取る。
『今日のお昼過ぎとか、空いてる?』
それは、例のカレシからのメッセージだった。
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