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 『窓の外、見て』。  そんな彼のメッセージを見てから、もう、心臓のばくばくが止まらない。  胸がいっぱいになりながら、数十メートル先の深沢(ふかさわ)くんに話しかける。  彼はたははと笑ってから、腕でバランスを取りながらスマホを持ち替えた。 「だって、広瀬(ひろせ)さんが、会いたいなんて言ってくれるから……。 そりゃあもう、行くっきゃないでしょ」 「面会できないから、絶対来られないと思ってたのに……」 「これだけ距離があれば、ソーシャルディスタンスも保ててるし大丈夫!」 「そういう問題かなぁ……?」  そんな風に突っ込みながらも、笑みがこぼれずにはいられない。  そのとき、生垣の向こうに、深沢(ふかさわ)くんの方へ走り出す男の人の頭が見えた。やばい、警備の人だ! 「深沢(ふかさわ)くん、やばい、警備の人来てる!」  窓から精いっぱいに指さすわたしに、深沢(ふかさわ)くんもその方向を見る。 「わ、ほんとだ!! やばっ、ごめん、いったん切る!」  そう言って彼は慌ててフェンスを下りた。生垣であまり見えないけれど、深沢(ふかさわ)くんは近くの公園の方へ走り出す。「こらっ、待ちなさい!」「嫌です!」。そんな声がかすかに聞こえるけれど、意外とうまくすりぬけて逃げ切っている頭だけが見える。  そんな様子を見て、深沢(ふかさわ)くんには申し訳ないけど、なんだか笑えてしまって。  ……なんかこれ、青春っぽくない?  そう思うと、余計ににやにやが止まらなかった。

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