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野盗団
ようやっと、先の廃墟まで戻ってきた。ここから次の町に行って、薬草売って食料を補充する予定だったんだ。そのまま素通りしようとしたら、後ろから呼び止められた。
はて、こんなところで呼び止められるようなことはないはずなのだが?と思って振り返ると、禿頭の大男が仁王立ちしていた。
「わ……親分」
コガネがつぶやいて背後に隠れた。
親分? ……あ、コガネが身を寄せていた賊の頭か、こいつ。何の用だ? コガネを迎えに来たのか?
再び大男に向き直ると、背後に賊が増えていた。
何々? どういうことだ?
「また、のこのこと戻ってくるとはいい度胸だ。俺の仲間が大変な辱めを受けた。その礼を存分にさせていただくぞ」
「んー。戻ってきたくて来たわけじゃないんだけどな。コガネの村まで行って、また戻る羽目になっただけで……」
「ここで会ったが百年目という奴だ、この変態野郎」
「変……態?」
頭の中が「?」マークだらけでぽかんとしていたら、大男はおもむろに脱ぎ始めて、みるみる締め込み一丁になった。筋肉隆々に鍛え上げられた素晴らしい肉体だ。いや、そうじゃなくて、こいつ、一体何やってんだ?
「さあ、最初から裸同然になってやったからな。もう、アヤシイ術は使えまい。望みとあらば、裸一貫で一戦交えてもいいぞ!」
うわぁ……、変態はそっちじゃんか。
賊の取り巻きどもが指笛を吹いたり嬌声を上げたりしはじめ、親分は気分よくポーズを決めている。
なんじゃ、こりゃ……。
「いざ、タイマンで勝負を挑む! 下手な小細工は使うなよ! こちらは、腐っても武人。今は亡きアワの国の兵長も務めた男。そちらも見てくれからして武人崩れであろう。残念ながら剣は無いが、一戦手合わせ願う!」
今は亡き、アワの国……。
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