青の民

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 好奇心とエネルギーの塊みたいなコガネと一緒に旅をするのは、予想以上に面白かった。  自分の周りには子どもはいない。強いて言うなれば、双子の妹が同列最年少。強い「力」を見出されて、早いうちに王宮に引き取られたから仕方がないっちゃそうなんだが……。  自分たちを育ててきた老賢者やシロガネ、クロベニたちはこんな気持ちだったんだろうか。こんなに楽しんでたのだとしたら、ずるいなー。子どもがいるとこんなに楽しいのに、先に逝ってしまった親の無念さは、いかばかりか……。  川沿いを下る幾日もの旅程を経て、それは目の前に現れた。 「ここが、川の終わり……」  そして、河口付近に広がる青の民の船上集落だ。  話には聞いたことがあるが、青の民の集落は初めてだった。どこからどう(おとの)えばよいのやら。中州を中心に島のようになっている集落に近づくには、どうにも舟が必要なようだ。 「なんか合図送ったら、気が付いてくれるかな」 「ふむ……、旗でも振るか。なんか適当な大きさの布あるか?」 「手ぬぐい。黄色いやつ」 「じゃぁ、こっちの鉄紺のやつと一緒に適当な棒に括り付けて降ってみよう」    川原で流木を拾って手ぬぐいを括り付け、集落に向かって大きく振った。しばらく振り続けていると、集落に動きがあった。小舟がこちらに漕ぎ出してくる。人が二人乗っていた。
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