出会い

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「……姉ちゃんのうちは、小さい子が二人いるんだ。昼間は、オレが帰ってきたことに驚いて喜んでいた風だったけど、夜になって姉ちゃんが旦那さんと言い争ってるのを聞いた。やっぱり、オレ、厄介者だったみたいだ。村に戻らない方がよかった」  再び沈黙。やがて、顔色を窺うようにこちらを見てから、決意したという風に口を開いた。 「オレ、シロにくっついて行っちゃダメかな。旅の中でオレの居場所を探したいんだ」  真剣なコガネの顔。迷惑ってわけでは無いのだけど……。 「……どうなっても知らないよ」 「え?」 「こちとら随分長いことモノを探して旅をしているんだ。いつがゴールなのかわかりゃしないし、どこまで付き合ってもらうのかもわからないぞ」 「それでもいいよ。オレ、行くとこないし、村の外に出たら、こないだみたいな野盗みたいなやつらにくっついていくしかないんだ。オレ、……もう泥棒みたいなの、やだ」  そりゃそうだろうな。泥棒の最上位互換に家族と家を奪われてしまったのだから。 「覚悟決めたんなら、それについては何も言うことはない。勝手についてこい。あー、ただ一つだけ気を付けてもらいたいことがある」 「なに?」 「背嚢(はいのう)には触れるな」 「オレ、泥棒じゃねぇから人のもんは盗らないよ!」 「……いや、そうじゃなくて、それ、イキモンだから噛みつかれる」 「ええっ?」 「ミミックみたいなもんだと思ってくれ。持ち主以外には容赦しない(たち)なんだ。親切心で寄せてくれようとしてうっかりケガをしたら申し訳ない」 「シロって……何者?」 「えー? そんなこと聞かれたの初めてだよ。考えたことない……」  だって、これが、普通だし。
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