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闇の中で一際白く輝くような雪混じりの冷たい風が、小さな木枠の窓にぶつかった。
そのたびに窓はガタガタと音を鳴らすが、窓のすぐ側でベッドに座る男の子を守るように、しっかりと風の侵入を拒んでいた。
男の子が外を見ようと白く曇った窓を拭くと、キュッと音をたてた。
同時に水滴がまだ子供らしいふくよかな腕を伝う。
暖かな部屋と不釣合いの冷たさに驚き、とっさに腕を引っ込めた時には、もう拭いたばかりの窓が曇りはじめていた。
男の子は小さくため息を吐く。
「ねえ、おばあちゃん。ボクが寝るまでまた何か物語を聞かせてよ」
ベッドの横でロッキングチェアーに身を委ねていた老婆は、読んでいた本を膝の上に置くと軽く目を閉じた。
「そうだねえ、じゃあ今夜は、ある少年の話をしようか。ちょっと難しいかもしれないよ?」
男の子はいつもと同じ様に毛布を頭からかぶると、もぞもぞと顔だけを出した。
「いいよ、話して!」
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