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「咲良は心配しすぎになっちゃうんだな…今までの経験で仕方ないのかも知れないけどさ、俺と居る時は、もう少しリラックスして。家で休まらないって意味ないから。咲良も俺も、家ではのんびりリラックスする事。でもその為の我慢は必要ないよ。リラックスしてる風にしなくていいし、何かこうしたい、ああしたいって事はちゃんと意見出して」
「プレゼンだね」
「そうそう。せっかく俺らはそういうスキルがあるんだからさ…黙ってて解ってくれよ、じゃなくて、ちゃんとどうしたいか、っていうのは意見として出して。譲れないなら折衷案作って。お互い負担にならない何か答えを導き出してさ」
貴将くんの温かさを感じる。身体だけではなく、心からの温かさ。不思議で仕方ないのが、何故この人が誰とも付き合っていなかったのだろうかと。そのおかげで私は出会えた訳だから、本当に運命だったのだと思う。
「貴将くんの彼女さん達は幸せだっただろうに…何故別れちゃったの…もったいない」
「咲良サン、今どなたと付き合ってるの」
「貴将くんです」
「あ、解ってんのか…あー、びっくりした」
「だって、こんないい人…」
「咲良限定だから」
「またそういう…」
「ほんとだよ、だからフリーだったんだからさ」
「そうだけど…」
頭を撫でられる。心地よい貴将くんの手。身体がくっついてるから、ほわほわと温かい。
「ありがとう、貴将くん…」
「うん?どうした?」
「御礼言いたかったの…」
「うん?どうしてまた」
「私と出会ってくれて。こんな奇跡で運命みたいな、信じられないくらいの出来事だったから」
「俺も一緒だよ、出会ってくれてありがとう。咲良と出会う為に、俺はフリーだった訳だから、正に運命だな」
「ふふ」
「だろ?」
「ですです。……絶対そう」
「あ、眠くなってきてるな?」
実はふわふわとしてたのだ。身体をくっつけてお互いの体温で温まってしまって、とても心地良い。それでもちゃんと貴将くんと話しをしていたのは、頭では理解している。
「ほら、風呂入ろう」
「…うん」
「幸せそうな顔しちゃって」
「幸せだもん」
「そうだな」
貴将くんに支えられてお風呂に向かう。廊下をゆっくりと歩いて、洗面に到着した。
「…?…ん!? あ!? ちょっと待って!」
「どうした」
「そんな真面目な顔して、どうした、じゃなーい!」
「ん?ふんふーん」
「鼻歌も…や!だから!自分で脱ぐし、一人で入るもん!」
「いやいや、ぽやんとしてたんだから危ない」
「目、覚めたから!あ、ちょっと、待って…!」
貴将くんは私の話しを聞かずに、次々と上手に脱がしていく。一体このスキルはどこで覚えてきたのか。
「やだぁ、もう!」
「ほらほら」
「あ!なんで貴将くんも脱いでるの!」
「そりゃ風呂に入るからだよ」
「えー!ちょっと…本気!?」
「最初から本気」
「もうー!」
あっと言う間に自分の服も脱いでしまった貴将くんに連れられてお風呂に入るハメになった。
嬉しそうに、それは嬉しそうに私の身体を丁寧に洗い上げてくれて、おまけに髪の毛まで洗ってくれた。浴槽に先に入る様に言われたけど、今度は私の番、と言って貴将くんの身体を洗おうとしたのだけど、背中しか洗わせてくれなかった。その後は二人で浴槽に入って、貴将くんが大人しくしてるはずもなく。さわさわと身体を触られ、程よく火照ってきた所でお風呂から上がり、またご丁寧に身体を拭いてくれて部屋着へと着替えさせられた。これもまた貴将くんを手伝おうとしたけど、良い様にあしらわれてしまった。
あとはベッドへ連れて行かれて、日付が超えるくらいまで可愛がられてしまった。
貴将くんは、私を扱うのが本当に上手いと思った夜だった。
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