Episode,1

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颯爽と木々の間を歩いていた。仄かに香る土の匂いや揺れ動く枝葉の音が心地良い。でも闇雲に歩くだけでは倒れてしまうだろう。 「ねぇシヴァ?効率よく進みたいの。わたしの時計で今は7時。到着したのが午前5時位だったから、時間帯の流れは同じなのよね? 「ああ。一日36時間で一週間は5日間だな。」 全然ッ違う。考えが甘かったかも。 「ええっ?一日24時間で一週間は7日間よ?て、ことは……」 脳内の電卓をパチパチ。24✕7=168。36✕5=180。180ー168=12。 「トータル時間が12時間も多いよッ。」 「そうなのか。」 済まし顔で相槌を打つ梟。うぅ、絵になる。気を取り直して訊ねた。 「日が落ちるのは何時くらい?」 「大体22〜23時。朝が1〜12時、昼が13〜24時、夜が25〜36時というサイクルだ。大抵朝か昼どちらか働くか遊び、夜は就寝。まぁ夜は魔獣が出没するから外出は避けろよ。」 まっ、まじゅう?何ソレ。変換が追いつかないよー。 「魔獣を知らないのか。魔力を持つ獣だ。」 いやいやいや。直訳して欲しいんじゃない。非力なわたしにどうしろと? 「襲われない?」 「場所による。今のところ気配はない。吾の側には近寄らんから安心せい。」 「シヴァは強いから?」 「強いとは少し異なる。吾は神獣の血筋だしな。」 し、しんじゅう?って、神?シヴァってば神なの?こんなにカワイイのに。 「先程、モカの選択の瞬間(とき)に騒いでいたのは、吾が若いとはいえ、神獣が迎えるのは稀だからだ。」 「若い?その堅苦しい、いえしっかりとした口調なのに?」 慌てて言い繕うわたしをジロリ。 「モカよりも前に呼ばれた見込みがある者や、此方側の誰かが気に入った者以外は皆キマグレだな。」 「そっか。例え気紛れでもきてくれて良かった。ありがとう?」 疑問符で応えたわたしに苦笑しながら、シヴァは素朴な質問から生死に関わることも全て、根気よく教えてくれたのだった。 「キマグレではないがな?」 「んん?何か言った?」 「いや。」 確かに何かを呟いたけど、独り言かな?
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