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冠木 麗 side
朝から理事長に頼まれて
今の時期に転入して来るなんて珍しい転校生を校門まで迎えにいく。
迎えに行ったは良いが、空から降ってくるなんて聞いてないんですけど。
危ないと思い、咄嗟に手が出ました。
身長は170cmはありそうですが、見た目の割に軽くてちょっとビックリしました。
ちゃんとご飯食べてるんでしょうか。
腕の中にいる転校生は
ボサボサの髪の毛に分厚い眼鏡を掛けていて
この学園には相応しくない格好で
眉間に皺が寄ってしまいました。
おっと危ない笑顔笑顔。
軽く私の自己紹介をすると転校生も自己紹介してくれました。
「あ、僕はですね…み、
光井 雪兎と申します。宜しくお願いします」
光井…と言うとこの学校にもう一人居ますが、その人物とは小等部からの同級生ですが弟が居るなんて聞いた事無いですし全然似ていない。
ただの偶然で同じ苗字、同じ皇学園生って事も無くもない…。
何かしら関係はある筈。
この学園は将来の日本企業を担う生徒達ばかりです。この転校生が平凡な訳がない。
取り敢えず様子見ですね。
この事は会長に話しておいた方が良さそうです。
光井君を校舎の中まで案内すると
やはり私に対する好意・憧れの眼差しと
私の隣に居る光井君の悪口で周りが騒がしい。
この学園は外部からきた人間にとっては
異常ですからね。
男同志で乳くりあうなんて反吐が出る。
おっと…素が。
私はこれで副会長という目立つ立場。
この学園で何事も無く過ごすなら深く関わりを持たないことです。
愛想笑いして、本当の自分を押し殺した方が過ごしやすい。
チラッと隣の転校生を見ると周りの様子をあまり気にしてないようですね。
意外とタフなんだなとか思いながら職員室まで着いたので私の役目はここで終わり。
「ありがとうございました。
それにしても副会長も大変ですね、
人気者だと人の目気にしなきゃいけなくて
愛想笑いし続けるの疲れますよね?」
…愛想笑い振りまいてるのバレましたか
この転校生やりおる。
冠木 麗 side end。
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