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「コバルトは、大陸で夢見草が咲いているところ、知ってる?」
「夢見草? 知らないよ。ハイシロは知りたいの?」
「私じゃなくて、ツキシロが探してるの」
コバルトは目をぱちくりさせた。
「そうなんだ。じゃぁ、探しとくね」
「もし、あるところがわかったら、ツキシロに教えてあげて欲しいんだけど」
「オッケー。情報があったら一族全員で共有しとくよ。誰がツキシロに出会っても、教えてあげられるようにね」
「お願いします。じゃ、ツキシロの分。もう一個砂糖玉食べる?」
「わーい! ありがとう」
コバルトは水掻きのついた手を差し出した。その掌に、マーブル模様の砂糖玉を一つ転がす。
「コバルトは、いつもここに居るの?」
「今日は、私の当番。シアンの時もあるよ。一族の他の者の時もね。ここの真下が水の精霊様の巣だから、入れ替わりで清めに来ているの」
砂糖玉美味しいねーと、コバルトは微笑んだ。
老賢者さまを揺り起こして口説き落とさなくても、ここに来ればツキシロの消息は分かるかもしれないんだ。そう思ったら、ホッとした。いつまでたっても帰ってこないから、正直心配していたのよね。
「ほんとうにどうもありがとう」
重ねて礼を言い、ピッチャーに泉の水を汲んでコバルトに別れを告げた。コバルトは水音小さく泉に戻ると、ひらりと手を振って水底に帰っていった。
両親にも、ツキシロの消息を教えてあげなきゃな。明日は久しぶりに実家に帰るか。
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