未熟者

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「よいではないか、結果オーライで」  驚いて顔を上げる。さとりの能力を持つ老賢者だった。 「ハイシロは深く反省しておる。賢い子じゃ。次から同じ轍を踏むことはないであろう。クロベニに怖い顔で睨まれるのがわかっているのに、正直に包み隠さず報告に来た素直さと勇気を褒めてやるべきじゃ」 「あんなにシュンとなってかわいそうにのう……」 「いくら強面とはいえ、クロベニの顔、怖すぎじゃ。わしだったら泣いておる」  あー、怖い怖いと、老賢者たちが口々につぶやき始めて、クロベニは真っ赤になった。 「お、お言葉ですが老賢者の方々、いくら可愛いからと言って甘やかすだけではダメなのですぞ! きちんと道理を解いて正しく導き、一人前にすることこそが真の愛情というもの。私だって、好きこのんで凹んだハイシロが見たいわけではありませぬ!」  え? は? なんか雲行きが、変。 「私にばかり『強面(こわもて)』を押し付けて、いい顔ばかりする老賢者の方々はずるい!」  えぇーー? クロベニは、デレたかったのかー!  怖いから嫌いとか、叱られるからヤダとか、そういうの、なかったんだけどなぁ。でも、急にデレられて態度変えられたら、ちょっと対応に困るかも。  
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