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「いかな賢者様とて、流れで適当な事言うことがあるもんね」
「半分寝てそうなお方もいらっしゃるし……」
「省エネモード……」
二人して肩を揺らしてひとしきり笑った後、スイッチ切り替え。
さて、仕事仕事。
自分が持っている「時を操れる能力」についてだが、実生活ではあまり役に立たない。せいぜい料理したとき早く仕上げることができる、とか?
一方、時間を巻き戻したとき、他の人には見えない「何か」が見える。ツキシロにも見えるらしい。ヒトに時間の巻き戻しをしたとき、それが「記憶」だということがやっとわかった。意識を持たないモノから出た「何か」は、ほっとけば霧散するけれど「記憶」はなかなか消えずに漂って居る。あんまり気持ちのいいものではない。
多分だけど、「記憶」は雑多な概念の塊だから、今のツキシロの能力では、速やかに霧散させられるほど細かくできないんだと思う。ツキシロはそれを「目障りだ」と夢見草に吸わせてしまうので、夢見草はそれを「浄化すべきもの」と思ってる節がある。
ま、ツキシロの浄化能力は年々高まってるから、そのうち夢見草もいらなくなるんだとは思うんだけどね。
「記憶」は巻き戻した持ち主に返せるのかな? ヒトに巻き戻しをする時は、その記憶を含めて無かったことにして欲しい案件しかないので、やったことないけど。
「終わったら、街の居酒屋に行こうね。行きつけのお店に美味しい果実酒入ったってさ」
「ふふっ。それは楽しみ!」
引き出しから新しい紙を取り出して机に広げた。これは気合を入れざるをえない。
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