これは金時計だがや!

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 幸丸君は生粋の名古屋っ子。3歳で迎えた正月に親に連れられて東京へ遊びに行きました。スカイラインを描く多種多様な摩天楼が林立する都心に入りますと、出口のない迷路に嵌ったようで子供心にも東京は凄い所だと思いました。そして東京の外れにある親戚の家に新年のあいさつがてら泊まりに行きました。そこで同い年で従兄弟の金之助君とおもちゃで遊んでいますと、金之助君が言いました。 「僕、ほんとはおもちゃより金時計が欲しいんだ」 「ふうん、金時計が?」幸丸君は東京の子は変わってるなあという思いと東京の子は流石に欲張りだなあという思いが同時に絡み合いましたが、言われてみれば、金の鯱が誇りなだけに僕も欲しいなあと思いました。
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