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美術部とは、どこの学校でも同じかもしれないが、ほとんど帰宅部と同義である。絵が好きで、まじめにクラブに出てくる生徒は数人。その数人に、私や島田さんがふくまれる。
大部分の生徒は幽霊部員と化し、年数回顔を出す程度。その部員たちにまで、先生の情報がまわっているようだ。
女子高に若い男性教師が赴任という噂だけで、毎年生徒達は狼系女子に変身する。大抵がガセネタで、みんな落胆するのが、四月の恒例行事と化している。
それにしても、目をぎらつかせた狼系女子の群に、もうすぐ入ってくる値踏みされる子羊の先生が、気の毒でならない。
ガラッと教室の前方にある引き戸が開いた。迷える子羊の登場だ。狼系女子達は、どよめき一斉に先生に注目した。先生の顔にと言った方が正解かな。私もつられて、先生の顔に視線を移す。
ガシャン!
妙な緊張感がはしる教室に、耳を覆いたくなる、けたたましい音が鳴り響いた。私が思わず、机の上においた筆箱を落としたのだ。
先生は私の前に来て、筆箱を拾ってくれた。
「はい」
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