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(二)美術室で突然に
始業式の次の日、私は学校へ続く坂道を歩いていた。
鴨川の東側、京滋電車の六条駅から東山に向かってのびる坂道は,通称女坂と呼ばれている。坂の突き当たりには、小学校から大学までの一貫校、京都女学院が鎮座している。そこの女子生徒達が毎朝何千人と通る事からついた名称。
おまけに、学院の制服のカラーがこげ茶色。小学生の制服からこげ茶色。ついたあだ名は、ゴキ女、もしくはイモ女。
お嬢様学校というレッテルがはられているので、多少のやっかみもはいっているだろう。なかなかシュールなネーミングだ。
ゴキブリの集団が向かう先はゴミ箱か、はたまたイモが大安売りされる市場か。
私もゴキブリの一員として、小学校から、この女だらけの坂道を上っている。
*
昨日発表された、新しいクラスに入る。ここは外部進学希望生のクラス。
朝なのに、もう机に突っ伏して寝ている人影に近付く。
「おはよう、砂羽ちゃん」
私が声をかけると、顔をめんどくさそうに上げ私をにらんだ。
「なんや美月か、もうちょっと寝かせて」
「昨日遅くまで勉強してたん?」
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