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◻︎
ベッドに連れて行って、細い身体をそこへゆっくり寝かせた筈なのに、やはり静寂の中ではスプリングの揺れが、やたらと大きく聞こえた。
緊張からか、俺の腕を縋るように掴む女に気付いた時には、その薄く小さな唇に再び自分のものを重ねていた。
啄むようなそれを繰り返した後、最後に唇を軽く舐めると、ぴくりと驚いたような反応が素直に伝わる。
ぎゅう、と強く目を瞑っていた女がゆっくりと瞼を持ち上げる様を見て、涙が既に薄く滲む目尻にも唇を当てた。
視線が重なった瞬間、また口付けを落としながら服の裾から手を侵入させてそっと胸に触れると、堪え切れない細い声が漏れていく。
そのまま首元や鎖骨、そしてトップスを捲り上げて胸にも唇で直に触れていく途中で、どこか不自然に途切れる声に違和感を抱いて視線を上げると、片手で懸命に声を抑える姿を見つけた。
「手、邪魔。」
「まって…っ、」
そう指摘して、反論は全く聞かずにその細い手に自分の指を絡ませ、女の顔のすぐ横に押さえつける。
鋭く目を細められても、濡れた瞳がつくる眼差しでは逆効果でしか無いと、こいつは多分気付かない。
それにそうやって睨むくせに、その後、服や下着を脱がせる時も結局は従順で、その様子1つひとつにも心臓は煩く鳴りつづけていた。
白い素肌に散々愛撫を繰り返して暫く、そっと薄い腹部を撫でてそのまま太腿の間に触れると、一際高い声が届いて、細い身体が大きく揺れた。
自分の声も反応も、恥ずかしくてたまらないのか、またぎゅうと目を瞑って顔を逸らして視界を遮断しようとするから、素早く顎を持ちあげてキスでそれを防ぐ。
「……ほだか、」
「なに。」
俺から視線を固定させたくせに、ゆらゆらと濡れた瞳の奥に熱を隠した蕩けそうな眼差しを向けられたら、結局また、鼓動が速まってしまう。
「…きす、もっとしたい。」
「……」
なんなんだよこいつは。
そう思った時には、意図せず舌打ちが溢れてしまった。
「…舌打ち、した。」
「するだろ。お前は何を煽ってきてんの。」
肩で浅く呼吸を繰り返しながらも俺の反応にそう呟き、不服そうな顔つきに変わった女の頬に手を添えて、唇を性急に奪う。
そのまま口付けを深めて舌を絡ませつつ、浅いところを行き来していたもう片方の指をゆっくり押し入れると、また細い身体が分かりやすく跳ねた。
足でシーツを蹴って、なんとか刺激を逃したいと身を捩る姿をもっと見たい。
そんなこと例えば伝えたら、この女はきっとまた睨んでくるんだろうなと、それも悪く無いと、ぼんやり頭の片隅で物騒に考えてしまう。
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