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「このメンバーで飲むの初めてだね。」
「私、ちひろさんにまだきちんとご挨拶出来てなかったですよね。
花緒の同期の芦野 奈憂です。
ば花緒が、いつも大変お世話になってます。」
「ば花緒って言わないでよ。」
隣で鋭くすぐに指摘したのに、奈憂はにっこりとちひろさんに微笑んだまま、無視をしてきた。
なんじゃこの女。
「ほら、ば花緒は何飲むの?」
「亜子さんまでなんなんですか!」
無事に今週の仕事を終えて連れられたのは、ちひろさん御用達の、噂の居酒屋だった。
会社からも、電車を使わず歩いて行ける程よい距離にあるそのお店のチョイスに亜子さんは「なんで女子会で、ちひろとあの童貞の愛の巣に行かなきゃいけないの」と若干不服そうだったけど。
突然決まった飲み会だったことに加え華の金曜日の今日は、目星をつけたお店は予約しようとしても敢えなく惨敗してしまった。
常連すぎて勿論店長さんとも仲の良いちひろさんのおかげで、この居酒屋の予約がなんとか取れて。
別オフィスで働いている奈憂とも現地集合して、初めてのメンバーでの女子会が始まった。
「…ちひろさん。今日、瀬尾さんは良いんですか?」
「うん。あっちも今日は取引先の人と飲み会みたい。」
向かいに座るちひろさんは、いつもの笑顔で私の問いに答えてくれる。
私の先輩、今日もとても可愛い。
釣られて笑って、メニューに視線を落とすと、確かに美味しそうなソフトドリンクが沢山並べられている。
「花緒は、どうすんの?オレンジジュース?」
他の3人は一杯目は生ビールと決め終えたらしく、後は私のオーダーだけだ。
「…今日は私も最初の一杯、飲んでみようかな。」
「「「え。」」」
私がそう漏らした言葉に、誘い合ったのかと尋ねたくなるほど、ぴったり呼吸を合わせての「え」を3方面から驚きの眼差しと共に受け取った。
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