##2.「天敵たち曰くファン失格(?)の夜」

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「あんた、有里君のこといつから好きだったの?」 「え。…研修の時、からです。」 美麗な微笑みに乗せられて、正直に答えてしまった私は確かに馬鹿かもしれない。 「ずっと好きで、 折角やっと付き合えたのに何をやってんの。」 やれやれと困ったように笑ってこちらに問いかけてくる彼女に、1つの疑問がそこで生まれる。 「……あの、亜子さん。」 「なに?」 「気になってたんですけど。」 「?」 「…なんで私が、あの能面のことす、好きだったとか、付き合ってるとか、知ってるんですか?」 行儀良くちゃんと彼女の方を向いて尋ねたら、決して派手な印象は無いのに長く濃い睫毛が、ぱちぱちと瞬きの度に軽やかに踊る。 「……さ。何食べる?」 「ちひろさん、何かオススメありますか?」 確実に私の質問は聞こえていたはずなのに、そんな風にスルーを決め込んでメニューを見始める亜子さんと、乗っかる奈憂の違和感しかない様子を見守って数秒後。 「ちょっと待って!!!」 もしかして、この人たち。 「奈憂。亜子さんと繋がってたね…!?」 「ナンノコト?」 隣の女に詰め寄ったら、分かりやすく片言の日本語で返されてそれが肯定を物語っている。 やられた…!! そこに気付いたら、一気にぶわっと記憶が蘇る。 『…あれは、常に私の天敵なの。』 『一晩一緒に過ごしたのに?』 『っ、!?』 『夜通し一緒に仕事したんでしょ?』 『…何で知ってるの……』 『企業秘密。』 そうだ。あのカタログ事件の時だって、別オフィスで働く奈憂が何故だかそのことを知っていた。 「何が企業秘密だ…!」 「言っとくけど、花緒の気持ちとかまで全部、逐一報告受けてたわけじゃないから。 あんたの気持ちは元々バレバレだったし。 付き合ったのも、私があんたと有里君から勝手に察して、奈憂に確かめただけ。」 「亜子さんは本当鋭いですよねえ。」 「探偵に転職するか。」 バレたらバレたで、開き直り始めた2人に絶句していると、ちひろさんが「亜子、後輩を揶揄うのやめなよ」と宥めつつ運ばれてきたビールを差し出していた。
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