笑顔の男

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その日の帰り俺はそのまま家に帰る気になれず、普段使ってる駅の2つ前で電車を降りた。 夜の寒さに包まれながら歩く中、偶然みつけたさびれた公園。 俺は少しだけ、とベンチに座り物思いに耽る。 「はぁあああ……」 ぽろりと涙が零れた。 色々な想いが走馬灯のようにぐるぐると脳裏に浮かんでは消え、浮かんでは消え。 仕事の事、人付き合いの事、俺は上司の言う事を全くの私怨だと思い無視してきた。 だけど、本当はそうじゃなかったんじゃないのか? 勝手な思い込みでイライラしてモノにあたって、あげく人に迷惑をかけた。 27にもなってまるで子どもだ。 あの男に会えたならちゃんと謝りたい。 ぽろぽろと流れ落ちる涙をそのままに俺はそんな事を考えていた。 ***** どのくらい経ったのか、流石に寒くて帰ろうかと思っていると誰かが自分を見ている事に気づいた。 今までの俺だったら相手に「何見てんだ!?」ってくってかかっただろう。 でも、今朝の事もあるし反省したばっかだし、と相手に気づかれないようにちらりと見ると、そこに立っていたのは今朝の長身の男で、俺は内心パニックを起こしてしまった。 なんで?どうして? 俺は謝るのも忘れ長身の男が立っている反対側から逃げるように公園を後にした。
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