時代を超えて

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「あの、、、ありがとうございます」 「礼はいらない。それより君、その服装は何とかした方がいいぞ。目立ちすぎるしその、、、」 そう言うと彼はゆっくりと下を向き口ごもってしまった。 思わずクスリと笑ってしまった。 「笑い事ではないぞ!ただでさえ物騒なんだ。気をつけるんだぞ。」 他人で知り合ったばかりの私を気遣ってくれるだなんて、、、 胸が熱くなった。 ああ、そっか、、、これが感情だったよね。 久しぶりに溢れだしてきた感情が抑えられない。人の感情ってこんなにも温いものだったんだね、、、 あれ、、、 「おい、どうしたんだ?」 顔を伝う温かい感触、、、 涙だ、、、 「あの、、、ごめんなさい。何でもないです」 どうしよう。止まらない。 泣きたくなんかないのに気がついたら涙が流れてきて止まらなかった。 そういえば私は暫く泣く事ですら忘れていたんだ、、、
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