北の大地

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「はい!出来た」 あっという間だった。チエさんの手は魔法の手だ。 昔私がおばあちゃんに言った言葉を思い出した。 「どうかしら?」 ピッタリだ。 「丁度いいです。動きやすい!」 「良かったわ」 「チエさん、畑ってどこですか?私、手伝えることなら何でもします」 「ありがとうね。家の前にあるのよ。お願いしましょうね」 昨日は日が暮れていたから全然気づかなかったけれど、周りは似たような家と畑がいくつかあった。緑が本当に綺麗だ。 「冬を越した野菜が幾つかあるのよ。それを採ってもらえる?」 「はい。畑の周りも整えますね」 チエさんの畑には大根や白菜がいくつかあった。 畑仕事なんかした事がないので何となくでしか出来ないけれど私なりに出来る範囲で整えたり採ったりした。 「チエさーん!」 どこからともなく聞こえた声に振り向く。 そこにいたのは、、、 「あ!」 「君は!?」 彼だった。 私を気遣い、救いの手を差し伸べてくれた彼が目の前に居たのだ。 こんな偶然ってあるの?
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