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畑仕事を終えた後チエさんとまたいろんな話をした。 チエさんは彼、、、柊さんについて話してくれた。 「柊ちゃんはね、小さい頃から本当にいい子だったのよ。私とおじいさんの事をよく気にかけてくれてね。5歳くらいの時かしら?お母さんが亡くなってからはお父さんをそれは大事にしていて。」 まるで自慢の孫を紹介するかのようににっこりと笑いながら話をするチエさんの姿を見ているだけで柊さんの人柄がよく分かる。絵に書いたような好青年であることは揺るがなかった。 「お父さんは柊ちゃんが12の時に足を悪くしてしまってね。だから今はお世話をしているけど、柊ちゃんは本当に優しい子よ。いつもお父さんを1番大事にしているの」 小さく頷く私に嬉しそうに語りかけるチエさん。チエさんは本当に柊さんの事が大好きなんだ。 たくさんの話を聞くうちに私はもっと柊さんの事が知りたいと思った。 柊さんと話がしたい。 また会いたい、、、 私、変なのかな?自分の感情が、よく分からなくなっている。 「そうだわ!」 チエさんが急に大きな声をあげた。 「どうしたんですか?」 「なずなちゃんの紹介もかねて今日は柊ちゃんとお父さんを夕餉に招待しましょう。大したおもてなしは出来ないけれどきっと喜んでくれるは」 チエさんに私の気持ちが伝わったのかな、、、? そう思えてしまうくらいに嬉しい提案だった。 「2人に声をかけてくれる?」 「はい!」 声が弾んでいたかな、、、? チエさんは私が返事をする姿を見て嬉しそうに微笑んでいた。 私は早足に柊さんの家へと向かった。 何だろう、、、まるでクリスマスとかお正月をワクワクした気分で待つ子どもみたいな感覚だ。 心が弾む。この言葉が一番しっくりくるかもしれない。
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