恋愛シミュレーションゲームを作りたい

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 そして目玉(?)は裏ルートのヒロイン。使う言語は『異世界語』です。ほらほら、グーグルさんに聞いてみろよぉ。  因みに私は中国語ヒロインを担当していました。ついぞ完成はしませんでしたが、このために15冊くらい本を読んだので中国文化についての知見が深まって為になりました。  中華ヒロインは、色が見えないギタリストでした。好きなことは歌う事と食べる事。様々な国の音楽や文化を学ぶ為というのが本校に入学した経緯。  ……プレゼンって難しいですね。  2つ目も同じく【タイトル未定】  タイトル決まってないやつしかないじゃん。1つ目はストーリーというか、設定が先でしたが、こちらはキャラクターが先です。一応仮タイトルは『バッドエンドは忙しい』とか『恋愛(しぼう)フラグが立ちました!』だった気がします。  あらすじはこんな感じ。  『とても個性的なヒロインばかりなので、どの子も好きになると思います。それでは早速ご紹介しましょう!  1人目はヤンデレちゃん☆  オートアサシノフィリアっていう、ちょっと変わった性癖を持った女の子だよ!  2人目はツンデレちゃん☆  重度の蛙化現象を患っている、儚げな魅力を持った女の子だよ!  3人目は属性っ子ちゃん☆  色んな個性を兼ね備えていて、属性がてんこもりの女の子だよ!  ──ネタゲーとして一世を風靡した伝説のギャルゲー、『(タイトル)』。俺はどういうわけか、そんなゲームの世界の中にいた。  ネタゲー、いや、実際はネタゲーなんていうレベルじゃないくらいのヤバいゲームだ。その情報が出回る前に、可愛らしい女の子のイラストに釣られてこのゲームをプレイした英雄らに、魂までトラウマを刻みつけたゲームだ。  何がヤバいかって、ヒロインたちだ。  好感度を上げるほど暗殺のレパートリーが増えるヒロインに、好感度を上げるほど目の前で嘔吐されるヒロイン、そして好感度を上げるほど何故か胸が抉られるヒロイン。  血反吐を吐きながらも何とか全ルートをクリアしたことあるから分かったが、この部屋の風景は、間違いなく『(タイトル)』のUI画面、すなわち主人公の部屋だ。  ヒロインがヤバい奴しかいない恋愛ゲームで、実質唯一のハッピーエンドと言われたバッドエンド、誰とも付き合えないルートを目指す物語』  【ユーザーの評価】 『ヤンデレヒロイン』 ユーザー:ヤンデレですらなくただのシリアルキラー。目にハイライトはあるが二人の未来に光はない。 ナイフによる刺殺だけ警戒すればいいと思っていたら毒殺も多め。ジャンルが恋愛シミュレーションではなくサスペンスシミュレーションだとしたら最高の出来栄え。 中盤の教室をCO2で満たして殺しにかかってきたとき、実は扉の影にいるのが見える。気付いたときは漏らすかと思った。 パンツを履き替えてゲームを再開すると、時間ギミックがあったらしく中毒で死んでいたときはビビった。 ヤンデレ・メンヘラどんと来いの性癖だったけど、新しい扉は急いで閉めた。 『ツンデレヒロイン』 ユーザー:最初から好感度が高かったので、一週目攻略推奨ヒロインかなというのが最初の印象。因みに全ルートクリアすれば分かるが、一週目攻略推奨ヒロインなんてものはいない。いやまぁ、殺系ヒロインルートはハッピーエンド()RTAみたいなものだが。 誰にでも分け隔てなく優しく笑顔を振りまく彼女に、私は初めて二次元のキャラに恋をした。因みにこの後初めて二次元のキャラにトラウマを植え付けられることになる。 様子がおかしいと思ったのは2回目のデートの中盤あたり。ギャルゲーをあまりしてこなかったから、選択肢を間違えたのかと思ったが明らかに好感度が下がっている気がした。しかし、効果音は好感度が上がった時のものであったため、一瞬バグを疑った。ある意味製作者がバグってるが。 終盤は明らかに嫌悪されており、その様子はまるでストーカーに付き纏われているような反応だった。その中で突然に現れる告白シーン。 当たって砕けろどころか、触れることすら叶わずに砕ける雰囲気であったが、選択肢が実質一択なので告白することに。 信じられるだろうか。夕陽が差し込む幻想的な教室に、彼女の吐瀉物がぶち撒けられた。 その様子をただ見つめることしかできず、しかもゲームシステム的に、何故か付き合うことに。 朝、わざわざ迎えに来てくれた彼女を見た時は、さきほどのシーンはきっと幻覚だったんだろうという思いが一瞬だけ過ぎったが、それは彼女の吐瀉物と共に流れていった。 何というか、金や権力などで無理やり弱みを握らされている感じがして正直引いた。恋心は冷め、罪悪感ばかりが募った。 『属性ヒロイン』 ユーザー:多人格ヒロイン。他のヒロインがヤバ過ぎるのである意味普通のヒロインではある。ただまぁ何というか。他のルートをクリアしたユーザーなら分かると思うが、このゲームに普通のヒロインなぞいるわけはない。 多人格ヒロインとある通り、1日ごとに人格が変わる。この人格というのが2人くらいであれば個性的なヒロイン、で済んだのかもしれないが、一度登場した人格は、もう一周しない限り現れることはない。 思い出を築いても“彼女”にその記憶はなく、“彼女”にとっては主人公は常に初めて会う人になる。 今は6週目だが、どの人格でも一応告白は成功するっぽい。 ただ、告白して付き合って、後日に声をかけた時「初めまして」と言われたときのショックは、2週目以降もあったが、一週目は頭痛と悪心がするくらいだった。 私が好きになった彼女の寿命は24時間しかないのだと考えると、このゲームのおかげで1日1日を大切に生きようと考えるようになった。
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