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ハーレム小説が書けない僕は
商業誌においてハーレム小説が人気な理由は、そういった願望・欲求・期待に応えるからという一面よりも、ヒロイン、あるいはサブヒロインがたくさん出るからという一面の方が大きいと考えています。
というのも、メディアが小説ではあるものの、表紙、挿絵のイラスト、アニメーションを視野に入れて考えたとき、魅力的なヒロインの存在は強く、人の数だけあると言われている性癖も、数の力でカバーできます。
イラストは多くの注意を奪い、小説は多くの時間を奪うと古来より言いますが、ストライクなヒロインがパッと目に留まれば、どれだけ――(規制音)だとしても、これはこれでアリという判断になる可能性があるからです。俗にいう「しかしこいつは顔がイイ」ってやつですね。
しかしこいつの難しいところは、作者の性癖の守備範囲の広さが求められることです。そしてそれがどれだけニッチな層まで届けられるかというのが肝でしょう。そういった面では『異種族レビュアーズ』はマジで凄いなと思います。
まぁ、そこまでニッチに突き抜けなくても性癖というのはこと性癖大国日本においては多々あります。姉・母・幼馴染・眼鏡・貧乳・ツンデレ・ヤンデレ・クーデレ・ツインテール……ヤバいな。全然思いつかない。あと自分の性癖が狭いのか上に挙げたものはクーデレ以外ピンとこない。
そんな感じで性癖の開拓? といってはアレなのですが、属性もりもりパラダイスの多ヒロイン小説を書こうと思って作ったプロットがあります。何個あるのかは知りませんが、少なくとも1つは思い出せるので書きますね。
【最高で至高で究極に平和な世界】
「人理を超える化物を討伐するために作られた兵器のメンテナンスをするという名目で雇われた主人公。そこにいたのはどう見てもかわいらしい女の子だった。正確な年齢はよく分からないが、遊び盛りくらいだろう。アルバイトでここにいるにしては、軍事機密しかないこの場所には似つかわしくない。先任者のお子さんだろうかと思い尋ねてみると、先手を打たれて自己紹介された。『初めまして。兵器です。よろしくお願いします』。言葉とは裏腹の笑顔が、冗談を言っているようには思えず、何故か胃の中のものを全てぶちまけたくなった。彼女の話を聞いてみると、つまるところメンテナンスとは、死と隣り合わせにある彼女の心のケアらしい。終始笑顔の彼女を見ていると余計に心が押しつぶされそうだが、この後の彼女の言葉で完全につぶされてしまった。『私達の寿命は1か月も保たないので短い付き合いになるとは思いますが、よろしくお願いしますね』」
あらゆるものと引き換えに化物を討伐する力を手に入れた少女たちの、最期の人間らしい望みを叶えるために働く主人公。美味しいものを食べてみたい。好きな人とデートしてみたい。そんな彼女たちの願いを叶え情が湧いたところで彼女たちを死地へと送る。悔いはないと爽やかな笑顔で死にに行く少女。やっぱり死にたくないと泣き叫ぶ少女。過酷な運目に耐え切れず自害する少女。主人公には何の力もないので、どうすることもできず、せめて彼女たちの最後の思い出が良いものであろうと願いを叶えるしかない。
そんなわけでヒロインがどんどん新しく追加されるので、ハーレムにならずに女の子と恋愛できるよ! と言ったところ、fgoというゲームをやっている友人からは「陳宮かな?」と言われました。多分、褒められているんだと思います。
これは夢で見たのを面白そうだなと思って小説にしたのですが、友人曰く似たような小説があるらしいです。『終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?』という作品らしいです。タイトルだけは知っていたのです、こういう作品なんだ、と驚きました。確か続編もあるんですよね。書店でアルバイトしているのでタイトルだけは詳しいんですよ。
因みに私はこういう鬱展開がある小説は基本的に読めません。好きなんだけれどね。だから事前情報を知らずに読めば好きになる。知っていると読めない。
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