社員食堂の小人さんと秘密のお手紙

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 総務部からの一斉メールで案内されたのは、弁当販売の斡旋だった。  添付されている資料によると、いわゆる仕出し弁当とは違った、卸し弁当が提供されるようである。  自粛が叫ばれるなか、飲食業界も悲鳴をあげているというし、テイクアウトサービス以外にも生き残り戦略が必要なのだろう。  専用webサイトを見るかぎり、いくつかの飲食店が協賛した法人向けサービスらしい。社食よりは値段が高いけれど、写真で見るかぎり、とても美味しそうだった。  利用を希望する社員にはIDが付与され、各人がオンライン上で注文を行う。メニューと受け取り時間を指定しておくと、当日会社で商品が受け取れるシステムになっている。  美月は早速申請し、最初に選んだ親子丼に骨抜きになった。  とろりとした半熟タマゴもさることながら、濃いめの出汁が白米に対して、いい配分なのだ。  多すぎず、少なすぎず。きっちり食べきれる程度に入っていて、容器に汁が残らない。  使い捨て容器だから、そのままゴミとして捨てられる。なお、地球にやさしいバイオマスプラスチック容器だ。  ちいさなパック容器に入っている漬物は、日替わりで数種類。  箸休めにちょうどいい量がついていて、これも美味だった。
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