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あきらかに、量が多い。
パンとライス、どちらかを選択する方式なのに、なぜか両方ついていた。
いつものようにメモが添えてあり、開いてみると見慣れた文字。
『今野さんは物足りないと感じるかと思いましたので、ささやかながらボリュームアップしておきます。くれぐれも内緒でお願いします。いつもご利用いただき、ありがとうございます』
――小人さん、まじ女神!!
堪能し、御礼のメモを忍ばせた箱を返却寸前に、美月はふと気づいた。
もしかして、名前、バレてる?
箱には社員番号と名字が記されているので、たしかに把握されていてもおかしくはない。
なにしろ美月は常連だ。単なるお客さんではなく「今野美月」個人に宛てたメッセージなのだと思うと、急に特別な気がしてくる。こんな時期だからこそ、人と人の交流がありがたい。
箱を開けると、底に置いたメモを取り出す。
胸元のポケットにさしているボールペンを持つと、メモの下に「今野」と付け加えることにした。今日の昼食は遅番なので、あとからひとが大勢やってくるということもないだろう。
余白に追加メッセージも加えて、満足する。
しっかりと蓋を押しこむと、返却エリアに置いて、その場をあとにした。
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