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社員食堂の小人さんと秘密のお手紙
己の社員番号と名字が記された発泡スチロールの箱を開けると、プラスチックの器に盛られたカツ丼が姿を現す。圧縮されていた空気が解放されるように、今野美月の鼻に匂いが届き、乗じてお腹が空腹を主張した。
いつもながら、美味しそう。
蓋を戻すと箱を両手で抱え持ち、自部署へ向かう。
途中、すれちがった社員が同じロゴがプリントされた同種の箱を抱えており、いましがた出てきたばかりの食堂へ入っていった。
以前では見られなかった光景だが、今は時差喫食が推奨されている。美月も、今日は少し早めの昼食だった。
デスクに戻ると、中身を取り出す。
コーヒーとは別のマグカップで粉末タイプの味噌汁を作り、マイ箸を持つと手を合わせる。
(いただきます)
声には出さず、頭を下げる。
まだ昼食の順番がまわってきていない者への配慮であり、食事中は私語厳禁でもあるからだ。
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