君の死亡が理解できたら 最終話

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朝僕は共鳴している小鳥の鳴き声で起きた。 人生でこんなに清々しく気持ちがいい朝はいつぶりだろうか。 冬らしい朝の匂い、堂々と輝く太陽の光。 僕は今現在。生きている。 ってアホらしい。 こんなに幸せな朝が来るなんて気色が悪い。 そう思いつつ携帯を見る。 五件のメール。 宛先人は松下華奈。 いや読み上げてる場合じゃないだろ。 今日はなぜか急に決まった「初デート」じゃないか! あ、ノリに乗って使ってみたけどクソキモいな… こんな恥ずかしい言葉をよくもまぁ軽々しくいうもんだ… あああああ違う違うそうじゃないそうじゃない コーデはどうするんだコーデは… 集合時間まであと四十五分… 短い。短すぎる。 メガネをコンタクトにしてみるか。 あ、タグついてないか確認しないと。 髪の毛ちょっと巻いてみたり???? いやいやまじでどうしたんだ今日の僕。 何をキャッキャうふふしてるんだよ。 あと二十分!!!!!!! ダッシュしたら髪崩れるからな… いや、いっそのこと真ん中で… んんんんんもういいわ適当で行こうダッシュダッシュ… 「え、大丈夫??息切れすごくない?」 目の前の天使は僕の頭を撫でた。 うわあ。好きだわ。 頭上の「五十分後、松下華奈は死亡します」 という文字すらもかわ… は? え? いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいや… うん。あと五十分後に。目の前の天使が。死亡とな。 早くない? いやそこじゃないか。 え、にしても早いよね? 前世で何したの? いやでも起きてしまったことは起きてしまったことだよなぁ。 どうしよっかな… あ、僕が頭撫でて気分悪くしてみる?僕ボコられるけどね???? 頭を? 撫でる… 僕変態だな完全に… あー天使が手を上に持ってきた… 殴られるぞおおお… そう思った瞬間、天使は顔を覆い隠した… 手の隙間からは真っ赤に染まった肌が見える… 天使の赤面!!! いや完全僕得だからいいとして… ステータスは… 上がってr ない… 20分…?なぜ…? 気分悪くしすぎたか。 「高橋くん…」 あ、ご奮闘… 「急に頭撫でるとか…恥ずかしくて寿命縮まっちゃうよ!」 はい。そうですね。縮まってますよ?30分間。 んんんんなんで僕はこんなにダメダメなんだ… もういっそのこと死んでしまいたい… もう…僕はいつまで経ってもこんなんで… 「お前は何を努力した?」 どこからか聞こえる男の声。 耳を塞いでも聞こえる声。 その声の主は、僕の目の前に浮き出てきた。 中年くらいの小柄な男。 「お前は、どれだけこいつを守る為に努力した?」
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