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夫婦となる姿が想像もできない。 またある人がどこそこの3男が嫁ぎ先を探していると言えば、帯に指をひっかけられて連れて行かれる。いってみたらとんでもなく立派な商家だったが、店先に出入りする人相がどうみても堅気じゃない。こんな家と親戚になるつもりかえ、と兄をみると同じことを考えているらしかった。そそくさとあいさつだけして逃げ帰った。 「どうすんだい、兄さん」 「うるさい」 疲れ果てた兄と共に家に戻ると、兄はそのまま火桶にうなだれたまま動かなくなった。声を掛けると同じ言葉しか返ってこない。 「平ちゃんのお嫁さん、みつからなかったの?」 「花緒」 おずおずと声を掛けてきたのは兄の娘だった。花緒、と名付けられたこの子は5歳になる。結婚してすぐにできた子だが、花緒は未だ一人っ子だ。 兄に似て飛び出るのではないか、というほど大きな黒い瞳を不安そうにうるうるさせている。 「いやいや!俺があんまりいい男だから、皆俺の嫁になりたがって断るのになんぎするぐらいだぜ、花緒」 「でも平ちゃんも、お父さまも、お嫁さん探しでつかれてるんでしょ?」
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