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医者、海賊になる
今度はルイスがすぐ聞き返して来た。
「この海の向こうにはさ、きっと君が見たことも聞いたことないようなものいっぱいあるよ。知らないこと、知りたいと思わない?」
目を細めて地平線を眺めるルイスの横顔に、私の中の好奇心がうずき出す。
「でも、」
ここを離れるわけには行かないし……。だがルイスはそれもわかったように笑った。
「大丈夫だよ。海は繋がってるから戻ってこれる。ね、行こうよ俺らと一緒に。絶対後悔させない航海にするよ……なんちってダハハハハ!」
思わずずっこけそうになった。なんだそのダジャレ。笑ってんのお前だけだからな。でも……そうだな。面白いものは見てみたいし、知らないことは知りたい。
「……わかったよ。五分待って、支度するから」
立ち上がった私を見て、二人がぱぁっと笑顔になる。
「そうこなくっちゃ!俺シュウジ達に言ってくるから、ロロネこの子のことお願いね!」
ドタバタと診療所を飛び出したルイスの背中に少し後悔した気もしたが、まあいい。支度を済ませて、ロロネの案内で船に向かうとそこにはやっぱり昨日見た五人の大男達。
その真ん中にドンと構えたルイスが、ニヤリと口角を上げて私に言った。
「ようこそ、エイヴリー海賊団へ」
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