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路地裏にて
基本的に平和なこの町は、あまり怪我をする人がいない。だからそっち方面のストックは、あまりしていないのだ。
なら昼の買い出しついでに買いに行こう。海賊かあ。面倒ごとはごめんだぞ。そう思いながら、財布をカバンに入れて診療所を出た。
「おばちゃーん。いつものと、包帯と消毒液ある?」
お昼ご飯の買い出しを済ませて、いつもお世話になっている店に顔を出すと、困った顔をしたおばちゃんが顔を出した。
「あらやだ。もうアンタんとこにも怪我人が来たのかい?これだから海賊は困るねぇ。人の町でどんちゃん騒ぎなんて、全くはた迷惑な話だよ。あぁ、そうだった。いつものはこれ。あと包帯と消毒液は多めに持ってきな。今日はサービスだよ。アンタんとこも今日は忙しくなるだろうからね」
相変わらずよく喋るおばちゃんだ。軽く聞き流しながら、カバンいっぱいに包帯やらなんやらを受け取って、これ以上捕まらないようにさっさと店を出た。
にしても海賊か。本当にはた迷惑だな。これから忙しくなるなら早く帰らないと。いつもはあまり使わない裏道を使って帰ることにした。
この道は人気がないし、何より診療所への一番の近道だ。流石にここには海賊なんていないだろう、
なんて考えていた私がバカだった。
道に入った途端、数人が血を流して倒れているではないか。
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