桃色の海賊

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桃色の海賊

「えっ、早速じゃん」 思わず口からそんな言葉がこぼれ落ちる。これは昼飯抜きだな。なんて覚悟しながらその人たちを見て回ったけど、残念ながら全員息絶えていた。 この人たちには申し訳ないけど、女手一人じゃこれはさすがに運べないし、放置していこう。そう思って足早にその道を歩いていると、壁にもたれて座り込むピンク頭の男が見えた。私の気配に気付くと、すぐさま腰についていた銃に手をかける。 「誰だお前。こいつらの……ん?君、もしかして医者?」 ジロリと私を睨みつけたと思ったら、拍子抜けしたような顔をする。 「そうだけど。これあんたがやったの?」 後ろをちらりと振り返ると、あぁと男が声を漏らした。 「女の子だったんだ。ごめんごめん、よく見えなくて気付かなかったわ」 は?思わず眉間にシワを寄せると、男はケラケラ笑い出した。聞いてたのか?人の話を。 「てか、よく見たら可愛いね。女医さん?いいじゃん、俺のことも診察してよ」 サラリとピンクの髪を揺らして、男がこちらに熱っぽい視線を向ける。なんだこいつ。どうやらこいつは人の話が聞けないらしい。 「診療所で医者やってんの。てかなに、怪我でもしてんの?」 一定の距離を保ちつつそいつに問いかけると、片眉を潜めて少し笑った。 「やー、思った以上に手こずってさあ。一撃食らっちゃったんだよね」 よく見れば痛みを堪えてるようにも見えるその顔に、なんとかしてやらないと、という医者の使命感が刺激される。 「どこ?」 幸いにも包帯と消毒液は持ってるし、今は追っ手もなさそうだから大丈夫だろう。 「いいの?俺、海賊だよ?君らの町荒らしてる張本人たちなんだけど。手当てしていいの?」 さっきまで煽っていたというのに、途端大人しくなった。ここに来る人間というのは変な奴ばかりなのかもしれないな。 「怪我してんでしょ?なら医者として見過ごすわけにはいかないから。ほら、脱いで」
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