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桃色、再び。
翌日。案外怪我人は少なかった。
どうやら怪我でここに来る前に、それが原因で命を落としているようだ。医者として、それが歯痒い。だがここで動いても、結果的には同じことになる。ここに医者は私しかいない。なら、じっとここで待って、助けられる人が来るのを待つ方が賢明だろう。
例えどんなに大変だとしても、それが私の仕事だ。
だが、怪我人よりも厄介なのが、うちに住み着いてしまったらしい。
「ねぇ、フローリーちゃん。俺らと一緒に行こうよ!ねぇー!」
昨日助けたピンク頭、確かロロネだったか。そいつが今朝一番に診療所に乗り込んできて、この有様なわけだ。
「ならないつってんでしょ?それより早く診察料出しな。てか勝手に愛称で呼ばないで。そんなに親しくないし、なる気もないんだから」
手を差し出せば握られるし、請求書を突きつければラブレターにして返してくるし、ほとほとこいつには手を焼いてる。
「一緒に行ってくれるなら払うよ。俺金は持ってるし。どうする?」
ニコニコしながらまた手を握ってくるから、呆れてため息をついてた頃また見たことのあるやつが入って来た。
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