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「コウヤぁ!だいじょうぶですかぁぁ!?」
岩陰の奥の方から不意に、殺人未遂の罪を犯した容疑者の声が聞こえる。
「大丈夫なワケあるかボケェェ! テメーよくも囮にしやがったな! 後で覚えとけやァ!!」
トカゲ野郎と命知らずの鬼ごっこを続けながらも、出来る限りの大声で彼女に怒鳴り返す。
「まだ叫ぶだけの元気は有るようですね! 安心しました! その調子であと一、二分持ち堪えてください! 頼みましたよ!!」
「ア"ァ!? 無理に決まってんだろ!!、何ザけた事 喚いて──ッ!?」
二発目となる罵詈雑言の標準を合わせようとした口は、途端に噤まれてしまった。
彼女の彼女の掌にて始まった、目を合わせられない程に眩ゆい神秘的な輝きが、唯一の理由だった。
逃げながらでそうずっとは、と言うかほとんど 5 歳児がノートのハジに作ったパラパラ漫画並みのコマでしか見れないんだが、その一枚一枚すべてが、先ほど枕元で目覚めた時の奇跡 如きでは到底 叶わない程の、
そんな美しさを纏っていた。
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『眩ク光ヲ照ラシ召シ、阻ム宿痾 穿ツ者ヨ
耀ク日輪ヲ掌リ、戦グ日向ゾ守リシ者ヨ』
辺りの空気を幻想に染め上げながら、いよいよ初まった魔法の詠唱。得体の知れない不可思議な神秘に、ピリピリと皮膚が震える。
普段お花畑や街で耳にするのとは余りにも掛け離れたソレは、まるで宵に小鳥が一匹、秘めたる慕情を囁いているのかと思う程に透き通った か細い声にも関わらず、断末魔を張り上げながら仲良くバケモノと追いかけっこ(殺意)をしていた俺の耳にまで、何故かハッキリと聴こえた。
『遙カ天上ニ神留坐ス大日孁ノ命以テ、遍ク万象ヲ導キケリ太陽ヨ
跋扈セリ諸々禍事ヲ、祓へ給ヒ清メ給フト申ス事ノ由ヲ、畏ミ畏ミモ白シ上ゲル』
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