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「──っん、フフッ、アッハッハッハ……相変わらずおもしい反応してくれますねぇ……アナタは」
年齢の齟齬なんかじゃもう隠しようのない既視感が吹き出すその美貌を、怪訝そうに見つめて。
ようやく諦めた俺は血の付いた石ころを、そこら辺へと投げ捨てた。
「説明お願いしまぁす……」
力ないその声に彼女は少しだけニヤけると、校則を守れるくらいひざ下に伸びたスカートのポケットから、ボロボロになった付けひげと、グシャグシャになったグルグル眼鏡を装着した。
「では説明してしんぜませう!、なぜあの ぼんきゅっぼん がガリガリ君になってしまったのか。すちゃ!」
自分で言うかよ。いやまぁ……あってるけどさ、
「原因は二つあります。まず一つ目、アナタにはったお札あったでしょう?、アレです」
「アレって、確か魔力?をシェアできる奴だったっけか」
「えぇその通り。しかし今回、貼った人が運悪く偶然タマタマさっきまで死にかけてた魔力がすってんてんの少年だったのです」
あ、……
「しかも二つ目、本来すっごく貴重で繊細なハズのアイテムを食器棚の後ろに数年しまって忘れていた結果、湿気と風化でボロボロの粗悪品にしてしまいました!いや~紋様は残っていたから大丈夫だと思ったんですけどね~ナハハ、」
バチが悪そうに頭を掻きながら、ごまかし笑いで茶を濁す幼女。多分反省してねぇなこの人、
「あ~うん。何となく、何となくだけど……ホームレスの財布担保にしてギャンブル行ったら身ぐるみはがされた感じ?」
「はい、まぁまぁ正解です! もうちょい正確に言うと、足りない分の魔力をカラダで払わされたってワケです。よよよ~」
二回り小さくなった身体と、本人には悪いが元の見た目よりしっくりくる口調での説明を、お嬢サマみたいな泣きマネで終えたヒルメ。
無理している可能性も捨てきれやしないケド、多分違うと思う。この人ホントに気にしてないんだ。きっと、
「さて――、」
サイズが合わず取れかけていた小道具をポケットに仕舞って、[パン]と手を叩いて、こちらを一瞬だけ見つめて。
桃色の長紐を取り出し、自身の膝まで伸びていた髪を結い始める彼女。
その光景をただ、ボーッと、眺めて。
ロリコンでいいかも、
うっすらとだけ、頭のワープロに叩き込んでは消した。
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