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「フッフーン♪、そうでしょう!えゝそうでしょうとも!!……全く、食わず嫌いは感心出来ませんねぇコウヤ君?、そんなだからガリガリのチビモヤシなんですよ!」
「ハッ、そのチビより小せぇ幼女が言うじゃねーかよ、大丈夫か?声泣いてんぞ?」
──チョれぇなコイツ! と出掛けた言葉を抑えながら、噛めば噛む程ジワジワと舌を経由して込み上げてくる未体験のジューシーさに、俺は取り憑かれていく。
いやマジで!、ホントうめぇのよ!? こんなデカい肉にかぶり付いたのって一体何年ぶ……いや、いっ……ねぇな。ウチ貧乏だもんな。ナッハッハッハそりゃドーリでうめぇハズだぜ……──万国の労働者よ団結せよ、革命の時は近いぞ。
6なもんじゃないどころか1も無かった記憶を噛みしめながら。大事に大事に食べていた最後の一口に名残惜しくもお別れしていると、唐突に[パンッ、]と、隣で彼女が手を合わした。
「ごちそうさまでした!」
「ご、ゴッソー様でした……?」
何故かつられて手を叩き、たどたどしく俺はその儀式?を繰り返す。
「食べる時には "いただきます" 、食べ終わったら "ごちそうさま" 。私たちの食事をする時の挨拶………いや、感謝みたいなモノです」
「な、ナルホド……そっか、」
「、なにか寂しそうですね?」
「あぁいや、その……実は朝からっつーか生まれてから殆ど食ってなくてよ、もしかしたらあのアレだ。おかわりとか合ったら嬉しいなっていう──」
我ながらヘタクソな気遣いのせいで中々 的を得れない要求に、ヒルメは首を傾げる。
「ん~、残念ながら難しいですねぇ。ただでさえほとんど真っ暗コゲですし、腑付近は危険だらけですし、というか腕の付近も別に無害という訳ではないんですよ、あ、に苦味あるトコとかあんまし食べちゃダメで──」
「そうか……出来りゃ今度は、もうちょいダケで良いから先に、言っといて……くだ、さ……ばたん」
「へっ?、」
腕組みを解いて振り返った視線の先。幼女が見つけたのは、話も聞かずにそのまま新しい肉を求めてトカゲにに齧り付き、ガクガクと泡を吹いて倒れ込む憐れな男の姿だった。
「コ、コウ……おバカぁ──っっっ!!!」
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