第3話 ブナの森から 2

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第3話 ブナの森から 2

由紀ちゃん、頼みが有るのよ、私が死んだ後の事で。何時も話してる薫君の事、 一度でいいから逢って欲しいの、まるで私の生まれ変わりの様にして。薫君には、 由紀ちゃんの事話して無いの。だから、きっと驚くでしょうね。その時の薫君の顔を 想像すると今から楽しくて、最もその時は、私には分からないだろうけどね。  それで、薫君を気に入ったら、お付き合いして欲しい。是非子供を産んで欲しいの  薫君の。これは私が果たせない思いからのお願い。でも決して、姉の意志だからとか  重荷に思わないで。本当、由紀ちゃんの気持ちで良いから。由紀ちゃんだって、他に  好きな人出来るかもしれないから、でもそうなっても、一度で良いから、薫君と逢ってみて。 由紀の話の後、「一寸ムカツク」と言って、薫は少し強引に由紀の中に入り込んで行った。そして暫く由紀をいたぶる様に愛撫してから果てた。 「ご免、痛かった。」 「うんん、大丈夫よ。怒った?」 「うん、少し、いやかなり腹立たしかった。」薫は、由紀の唇を優しくなめる様にしてキスしてから、左の乳房の下を触った。そこには、傷は無く滑らかな皮膚と柔らかい乳房の感触だけがあった。 「ねえ、何で由香の計画を変更してまで、僕に会おうとしたの?」 「薫君て、案外鈍感ね。まあ前からそうか。決まってるでしょ。貴男が好きに成ったからよ・・・その頃、私には彼が居たのよ。ウエールズの貴族の末裔でクリケットの選手だった、いかにも英国紳士って感じのね。」由紀は、再び薫の胸に頬を付け、心臓の音を聞くような形で、 「姉からのメールを読んでいるうちに、少しずつ興味が出てきたの。姉と薫君との奇妙な旅の中で、姉に優しく接している薫の気持ちや面白い出来事、昔、姉が私の出来事を疑似体験した様な感じで、私も薫と一緒に旅をしていたのよ。ある時は薫と由香の真似をしたくて彼を誘って、ロンドンの地下鉄の通路で、半日通行人を眺めた事も有るわ。彼はかなりうんざりしてたけど。社会学の実習だって嘘ついてね。」 「それは、災難だったね、由紀の彼氏は。それで何か有った。」 「暫くして、何人かのヒッピーが集まって来て、歌を歌い始めちゃって、そうなると今度は警官が来て、ゴタゴタし始めたからその場から撤退したわ。」 「ふーん、そう。僕らの方が有る意味退屈だったかも知れないな。由香からのメールではどんな事が書いてあったの。」 「うん、薫が気の毒だったって事と、天使にあったって事かな。」 「天使?ああ、弥生さんか・・・」 「うん、素敵な女医さん?その人に良くして貰ったって内容の。」 「ああ、うん、その人の事で、少し話しが有るんだけど。」 「まさかその女医さんに乗り換えるなんて言わないでしょうね。」 「それは無いでしょう。それに今は人妻だし。確かに綺麗な人だった。本当に天使かと思ったけどね・・・実は春に成ったら医学部に再入学しようと考えてるんだ。その女医さんがしていた様な仕事、つまり海外での医療援助とかの仕事をしてみたいんだ。」 「それって、国境の無い医師団の事でしょう。」 「ああ、NPOとしてはそう言うのがあるけど。これも有る意味由香が教えてくれた事かもしれないけど、命の輝きの大切さ、そんな物を自分の出来る限りだけど、守って行けたらって、そんな仕事がしてみたいんだ。少し親父の仕事と被るけどね。」 「ふーん、でも私、薫の子供が産みたい。元気な子供。薫が居なくても大丈夫よ。ちゃんと育てるから。」そう言いながら、由紀は再び薫の下半身を愛撫しながら 「元気になってきたみたいね。今度は優しくしてね。中でしちゃっても良いから。」 「一寸その件は、もう少し時間が欲しいな。いくら親公認って言ったって、順序があるからさ。それに僕の今後の事もちゃんと説明して置きたいし、由紀と由香のお母さんに。」 「まあい良いわ、此からは何時でも逢えるし・・・だから今は、由香の分も受け入れるから、沢山抱いて。」 外は、鬱すらと光が差し始めて来て鳥達が朝の挨拶をし始めていた。その後二人は、三度の行為の後に深い眠りに付いた。
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