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『オンライン交換日記しようぜ!』
ある日、中学からの友人達とのグループトークで突然書かれた。
そのグループトークは普段はあまり会話らしい会話は無いが、誰かの一言でいつも突然動き出す。
前回の会話は2ヶ月前。結構前だったから久しぶりの言葉に嬉しくはなったが、ずじょうにははてなマークでいっぱいだった。
『オンライン交換日記って何?』
堪らず聞いてみる。
『一人がその日あったことを書く、次の日別のやつがその日あった事を書く。そうやって毎日回していく。』
意外と普通の交換日記みたいだった。
僕らのグループは六人いるので、曜日担当では無い。ということはバイトのシフトとかの毎回同じなことは無く、その時その時の事を書くということ。
結構楽しそうだと思った。ほかもそう思ったのか
『いいじゃん楽しそう』
『やってみようぜ』
なんて好意的な声で溢れていた。
中学は一緒で高校は何人か別になった。それでも地元にはいたから最低でも週に週に一度くらいは皆で集まった。
でも、高校卒業してからは皆進路がバラバラになった。就職したやつ、県外の大学に進学したやつと。僕も地元を出て東京の専門に通っている。
生活も環境も何もかも皆それぞれ違う。偶に長期休暇を利用して遊びに来たり、行ったりしていたが、コロナ禍で外に出られなくなると、そんなこともピタリと止んだ。
きっと皆、繋がれる何かを求めていたんだと思う。
『やろうやろう』
そう一言送信した
『みんな乗る気で嬉しいよ。じゃあ順番決めておくわ』
企画者がそうやってまとめてくれた。幼い日以来の交換日記で少しワクワクする。ありがとうって送ろうと思った時もう一言添えられていた。
『忘れたやついたら罰ゲームね』
多分サボるやつもいるからの対策だろう。ただ、気の許せる友人同士の罰ゲームは容赦がないのでとても怖い。
書き忘れることの無いよう毎日何かないかと目を光らせようかと思った。
そんな感じでスタートしたオンライン交換日記。様々なことが書かれた。
就活に服装自由でと表記されていたので私服で行ったら周りみんなスーツだったこととか
課題のために高校の教科書引っ張り出したけど使わなかった事とか
遊びに行って急にゲーム買ったこととか
毎日起こった些細なことばかりだけれど、知らなかった皆の毎日に触れられるのは楽しかった。
顔を合わせて話す事は減った、それでもなんだか前よりも距離が近付いた気がする。
今日の担当は僕。何を書こうか悩みながら面白いことを探すために目を光らせて一日を過ごす。
退屈だった日常が色づいていく感覚がした。
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