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……なんて、事は起こらず、レーザー音だけが虚しく部屋に響き、缶はびくともしていない。ただのてんとう虫のような光が照らすのみ。
「え?」
「え?」
「いや、え? じゃないよ。破壊するんじゃなかったの?」
星さんは、あっれー、おかしいなぁ、と言いながら腕時計に視線を落とす。ボタンを押したり、腕を振ってみたり、外してみたりした後に、えへへ、と笑って俺を見た。
「あの〜、ひーくん」
「……なに?」
「報告ですっ!」
改まった彼女は宝石のような青い瞳を俺に向ける。
「この時計、征服用のものじゃなかった」
「うん。……じゃあ、何用?」
「レーザーポイント、みたい」
「え、プレゼン用!? ここまでブラックが……」
星さんにうっすらとポンコツ臭が漂い始めた。
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