鈴木探偵にお任せを

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 カメラの前に戻った三好は、ソファに浅く腰掛けた。 「実はさ、親戚から怖い話を聞いたんだよね」  元々活発なタイプではない三好には、声を落とした病的な喋り口がよく似合う。 『どんなの!?』  早速、山岸が食い付いてくる。  残りの二人も顔をしかめつつ、興味を示していた。 「ある土曜日、変な荷物が届いたらしいんだ」  話自体は、交通事故で腕を失った少女が、幸福な家庭に人の腕を送り付ける、という何ともB級感溢れるモノだった。三好が話を始めて数分で、山岸と幹事の関心が薄れていくのが分かった。元岡だけが、大袈裟に耳を塞いでいる。  話が終盤に差し掛かると、鈴木は音を立てないように、ぬるりと外に出た。インターホンを押す。 「ん、こんな時間に誰だ?」  三好が途中で話を切り上げ、何食わぬ顔でソファを離れる。組み立てた段ボールを名張から受け取ると、時機を窺う。鈴木は急いでパソコンに戻り、三好の画面に白黒のスノーノイズを入れる。 『きゃあ!』  声を上げたのは元岡だけだったが、残り二人も目を見開いていた。  三好が戻るタイミングに合わせて砂嵐を止めるが、画面は変わらず暗い翳に覆われている。 「なんか 段ボールとど いたんだけど」  ボイスチェンジャーで水中に引き摺られたように、くぐもった声を出した。 『さっきから何か変だよ。画面暗いし、声が……』 『なぁ、それ開けない方がいいんじゃないか?』   元岡に釣られ、幹事も弱気な発言をしている。山岸ただ一人が、無言で成り行きを追っていた。  三好がカメラの前で段ボールを開ける。皆が固唾を飲んで見守る中、中身を覗き込んだ。 「あはは、何の悪戯だろ。空箱だったんだけど」  三好がおどけて箱の中をカメラに見せた瞬間、ちょうど真後ろ、白い腕が画面外から伸びて、観葉植物を圧し折った。勿論、名張の仕業である。 『きゃああああああ!!!』 『うわあぁああああ!!!』  男女の悲鳴で音割れしたところで、鈴木はパソコンの電源を落とした。
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