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行動
窓に写る冷たい自分と対峙するのはもう三度目だ。
仕事終わりにここへ来るのが新しいルーティーンへと変わり始めていた。
指先に伝わるヒヤリとした感覚が私を少し冷静にさせる。
何が私を惹き付けるのか。
それはもうとっくに分かっていた。
私はもう一人の私がいるあちら側に行きたいのだ。
だけど一度行ってしまうと、もういつもの何もない普通の日常は返ってこない。
それは私にはとても怖い事。
なのにどうしても振り切れずにいた。
ガラスの向こうでぎょろりとした目がこちらを見ている。
ああ、ダメだ。
もう、こちら側にいることはできないーー
そして私は踏み込んだ。
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