冷たい人――からのメッセージ

11/14
前へ
/14ページ
次へ
 S病院で、イナヤの主治医から死亡診断書を受け取ったアズサは、 「葬儀は未定なので‥‥」  とイナヤの遺体を病院で預かってもらうと、サヤカと一緒に、例のメッセージにあった山に向かった。  1時間ほどかかって廃神社を探した結果、それらしい箱を見付けた。  箱にはカギがかかっていたので、アズサのマンションに運んだ。 「さーて、いくら入ってるかなー?」 「全財産だから、十万以上でしょう」  トンカチとペンチを持ったアズサが、そのカギを壊して開けると、そこには金庫が入っていた。 「やっぱり‥‥」 「じゃ、もう一回」  アズサが、またトンカチとペンチで金庫のカギを壊すと、勝手にフタが開いた。  そこには――百万円の札束が十束あったのだ。  それを見た二人は、驚きのあまり尻モチをついた。 「どうして、こんな高額を‥‥?」 「ほら、メッセージにあったじゃん。医者になろうと思っていたって」 「なるほど、そのために色々なバイトとかしたってことね」 「とりあえずS病院に預けてあるイナヤ君の葬儀をしないと」 「そうそう。じゃ明日、死亡診断書を持って役所に行くわ。それから病院に行って、葬儀社の相談もしないと‥‥」
/14ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加